規格のフランジ設計規定は 1937年に書かれた Waters、Westrom、Rossheim、Williams の論文に基づいています。これらの規定は 1937年に Taylor Forge によって発行され、1942年に規格に採用されました。実際的な面でそれ以来変更がありません。Taylor Forge の報告はしばしば発行されていて、今でも手に入れることができます。その中で最も有益なツールとしてフランジ解析があります。ソフトウェアの Flange モジュールの入力と結果は Taylor Forge フランジ設計シートをおおよそモデルとしています。
フランジの解析モデルはフランジそのものがフランジとハブを剛体要素とし、ボルトとガスケットをばねとしてして扱うことができるとしています。初期ボルト荷重はガスケットを圧縮します。この荷重はガスケットが変形してなじませるのに十分な荷重が必要で、圧力が作用したときにも十分な締め付け力が必要としています。圧力による推力がボルト荷重に対しては加算され、ガスケットに対しては減じられます。
一般的なフランジの解析は次の手順になります:
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運転条件と材料仕様を設定します。規格の許容力表から、常温と運転温度におけるフランジ材料とボルト材料の許容応力を決定します。
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ガスケット材料とフランジの面の種類を設定します。ガスケットの有効幅、有効径、およびガスケット係数を規格のスケッチ (Tables 2-5.1 および 2-5.2) から決定します。
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設計圧力とガスケットのデータから、ボルトの必要断面を計算します。ボルトの実際面積を計算し、必要断面積よりも大きいことを確認します。ボルト面積と許容応力から、フランジのボルト荷重を計算します。
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フランジに作用する曲げモーメントを計算します。曲げモーメントは、内圧、ガスケット荷重などとボルトサークル径から荷重点までの距離の積で表されます。最終的な結果は運転時とガスケット締め付け時の曲げモーメントになります。
当該フランジの応力はフランジに作用する曲げモーメントによって計算されます。この曲げモーメントはフランジの円盤としての抵抗によって生じ、一体型のフランジでは管の抵抗によって生じます。
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規格 Figure 2-4 に示されるフランジの種類に応じたハブ係数とその他の形状係数が計算されます。これらの係数は規格の Figure 2-7.1、2-7.2、2-7.3、2-7.4、2-7.5、2-7.6 に示されています。計算式も規格に示されていますので、ソフトウェアは付属書の図から選択した値と同じ値を採用しています。これらの計算式は Flanges モジュールに実装されています。
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応力計算式の係数を形状係数とフランジ厚さから計算します。
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応力計算式の係数と曲げモーメントからフランジ応力を計算します。これらの応力をフランジ材料の許容応力と比較します。
応力計算式の形は次の通りです:
S = k(geometry) * M / t2
すなわち、フランジ形状に依存する係数に曲げモーメントを乗じ、フランジあるいはハブの厚さの二乗で割ります。
計算の手順と計算結果の書式は、"Modern Flange Design", Bulletin 503, Edition VII, published by Taylor Forge とほぼ同じです。
Flanges モジュールは、取り合いフランジによるボルト荷重を考慮した該当するフランジの解析を行うことができます。ソフトウェアは腐れ代を考慮します。腐れ前の厚さと径を入力し、ソフトウェアは計算を実行する前に腐れ代を調整します。腐れ代は、必要に応じて入力で指定した特殊な設定でも処理することができます。
フランジ設計では 2つのオプションがあります。Partial オプションでは、ソフトウェアは設定した形状に対して採用のフランジ厚さを計算します。Design オプションでは、ソフトウェアはボルトサークル、ボルト本数、外径、厚さとハブ形状を含むフランジ形状をすべて選択します。
フランジ設計
定義されたフランジは、ソフトウェアによって解析された設計に基づいています。内径、材料、圧力、ガスケット形状とガスケット特性が固定として設計されます。この条件で、ソフトウェアは次の手順でフランジの残りの設計を行います:
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スリップオンフランジでは、ハブ先端の厚さをおおよそ設計圧力の必要厚さとします。
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溶接型フランジ、スリップオンフランジ、リバースフランジでは、フランジ背面のハブ厚さを、ハブ先端の厚さが 1インチ未満であればその 1/16 を足し、1インチ以上であればその 1/8 を足します。そして、ハブ長さをハブ先端の厚さとハブの最小勾配を 1:3 を足して計算します。このような決定方法で、標準のフランジと同様な寸法を持つようにハブ先端での厚さを設計しています。この方法では、モーメントアームとボルトサークルとフランジ外径を小さくし、フランジを軽量にします。結果として、このようにしてハブ先端での厚さを選択することで、フランジの必要な機械加工を最小にします。
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ボルト本数を仮決めします。フランジ径に基づいて 4の倍数になります。標準フランジのボルト本数よりも少ないか多いかは、選択したアルゴリズムによります。ボルト本数もフランジ外径と重量を最小にすることに影響を与えます。
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選択したボルト本数で必要ボルト面積を満たすボルトサイズを選択します。
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このボルトサイズで、最終のボルト本数を次のようにして決定します:
必要面積を 1本当たりの有効面積で割ります。あるいは
ボルトサイズでの最大許容間隔。
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ボルト本数を使って、ボルトサークルを次のようにして計算します:
ハブの外径にボルトの最小内径間隔を足します。あるいは
ガスケット外径に実際のボルトサイズを足します。あるいは
最小ボルト間隔、あるいは
リバースフランジでは、容器外径にボルト内径間隔を足します。
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ボルトサークル径と選択されたボルトサイズでの最小外縁間隔からフランジ外径を計算します。
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全面座ガスケットを用いるフランジでは、選択された値に対してガスケットと外径面を調整し、フランジのモーメントアームを再計算します。
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フランジ厚さを選択して応力を計算します。応力が許容応力に等しくなければ計算応力と許容応力との差に基づいて厚さを調整し、応力を再計算します。計算応力が許容応力に等しくなるまで繰り返します。
この手順はフランジの部分設計にも使われます。