KHK で耐震設計を行う場合の設定 (Using KHK to Analyze Seismic Conditions) - CAESAR II - ヘルプ

CAESAR II ユーザーズガイド

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日本語
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CAESAR II
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CAESAR II Version
13

KHK は日本 高圧ガス保安協会で行政とは独立した組織です。KHK は高圧ガス設備等の耐震設計指針を発行しています。

CAESAR II は KHK の指針のうち、配管系の地震荷重入力を支援する 地震荷重ウィザード (Seismic Wizard) を組み込んでいます。ユーザーは 地震荷重ウィザード (Seismic Wizard) を使って地震荷重 (G) を重力加速度との比である震度として計算することができます。

KHK 耐震設計では配管支持点の相対的な変位、必要に応じて液状化による地盤沈下、側方流動などの地盤変状も計算する必要があります。耐震設計に必要なすべての荷重を定義します。

KHK レベル 1

レベル 1 耐震性能評価は設備の供用期間中に想定される確率の高い地震動です。設備の耐震性能としの保有すべき能力は、有害な変形が生じず高圧ガスの漏洩のないことと、地震中も地震後も機能が維持されることです。

KHK レベル1 耐震性能評価は次に示す応力タイプで行われます。

K1P

K1P 応力タイプは高圧ガス保安法 (HPGSL) と石油学会規格 (JPI) で要求される 1次の長手方向応力です。圧力、重量、設計地震力(重力加速度との比である震度 (G) による長手方向応力になります。

K1P の応力計算式と許容応力については、CAESAR II クイックリファレンスガイド海外国際規格応力 を参照してください。

CAESAR II は他の規格では K1P 応力タイプを短期応力タイプ (OCC) とみなします。

K1SR

K1SR 応力タイプは高圧ガス保安法 (HPGSL) と石油学会規格 (JPI) で要求される 2次の繰り返し応力範囲です。地震荷重 (重力加速度との比である震度 G) と配管支持点の相対変位による繰り返し応力範囲です。

K1SRの応力計算式と許容応力については、CAESAR II クイックリファレンスガイド海外国際規格応力 を参照してください。

CAESAR II は他の規格では K1SR 応力タイプを熱膨張応力タイプ (EXP) とみなします。

KHK レベル1 耐震性能荷重ケース例

荷重ケース

応力
タイプ

合成
方法

状態

L1

W+T1+P1

OPE

NA

通常運転条件

L2

W+P1

SUS

NA

持続荷重ケース

L3

W+T1+P1+U1

OPE

NA

通常運転条件に設計震度で表した慣性力が作用した荷重ケース

L4

W+T1+P1+U1+D1

OPE

NA

通常運転条件に慣性力と支持点相対変位が作用したケース

L5

L3-L1

OCC

代数和 (Algebraic)

慣性力のみの荷重ケース

L6

L4-L1

OCC

代数和 (Algebraic)

慣性力と支持点相対変位のケース

L7

L2+L5

K1P

スカラー (Scalar)

短期 1次の長手方向応力評価用荷重ケース

L8

2L6

K1SR

代数和 (Algebraic)

短期 2次の繰り返し応力範囲評価用荷重ケース

異なる方向の地震荷重も同様に定義し、荷重ケースが追加されます。

KHK レベル 2

レベル 2 耐震性能評価は設備の供用期間中に想定される確率の低い高レベルの地震動です。設備の耐震性能としの保有すべき能力は高圧ガスの漏洩のない安全性が維持されることで、配管系の塑性変形を許容しています。KHKレベル 2 耐震性能評価は慣性力と配管支持点の相対変位に加えて、必要に応じて液状化による側方流動などの地盤変状も考慮する必要があります。

KHKレベル 2地震動のような高レベルの地震荷重が配管系に作用する場合、直管が塑性化するよりも前にベンドが塑性化します。レベル 2 耐震性能評価では、ベンドの塑性化を等価なたわみ係数で表します。この評価方法ではベンドの角度が大きくなる場合、あるいは小さくなる場合のその都度繰り返し計算が必要になります。地震荷重に対して、ベンドの変形角度の変化が規定された制限値よりも大きければ塑性化の程度を示すベンドの剛性を修正し、収束公差範囲になるまで計算をやり直します。収束したベンドの変形角度を許容値と比較し、合格・不合格を判定します。ソフトウェアは他のレポートは別にベンドレポートとしてこの結果をレポートします。

ベンドの塑性化を解析するには繰り返し計算が必要になるため、ソフトウェアは KHK L2 を基本荷重ケースとして扱います。複合荷重ケースでこの基本荷重ケースの組合せはできません。

KHK レベル 2耐震性能評価は次に示す応力タイプで行われます。ユーザーはこれらの荷重ケースから KHK レベル 2耐震性能評価を行うための荷重ケースを作成します。

K2P

K2P 応力タイプは高圧ガス保安法 (HPGSL) と石油学会規格 (JPI) で要求される 1次の長手方向応力です。圧力、重量、設計地震力(重力加速度との比である震度)による長手方向応力になります。

K2P の応力計算式と許容応力については、CAESAR II クイックリファレンスガイド海外国際規格応力 を参照してください。

CAESAR II は他の規格では K2P 応力タイプを短期応力タイプ (OCC) とみなします。ソフトウェアは他の規格では極限の荷重特性から許容値をゼロとします。

K2SA

K2SA 応力タイプは高圧ガス保安法 (HPGSL) と石油学会規格 (JPI) で要求される2次の繰り返し応力の片振幅 (amplitude) です。応力の方振幅は地震荷重 (重力加速度との比である震度) と配管支持点の相対変位)による繰り返し応力の片振幅です。ユーザは 2次の繰り返し応力の片振幅荷重ケースをこの K2SA 応力タイプで定義します。

K2SA の応力計算式と許容応力については、CAESAR II クイックリファレンスガイド海外国際規格応力 を参照してください。

CAESAR II は他の規格では K2SA 応力タイプを熱膨張応力タイプ (EXP) とみなします。ソフトウェアは他の規格では極限の荷重特性から許容値をゼロとします。

K2SR

K2SR 応力タイプは高圧ガス保安法 (HPGSL) と石油学会規格 (JPI) で要求される 2次の繰り返し応力範囲です。応力範囲は地震荷重 (重力加速度との比である震度) と配管支持点の相対変位による繰り返し応力範囲です。ユーザーは 2次の繰り返し応力範囲荷重ケースをこの K2SR 応力タイプで定義します。

K2SR の応力計算式と許容応力については、CAESAR II クイックリファレンスガイド海外国際規格応力 を参照してください。

CAESAR II は他の規格では K2SR 応力タイプを熱膨張応力タイプ (EXP) とみなします。ソフトウェアは他の規格では極限の荷重特性から許容値をゼロとします。

K2L

K2L 応力タイプは高圧ガス保安法 (HPGSL) と石油学会規格 (JPI) で要求される液状化による地盤沈下、側方流動などの地盤変状による応力です。地盤変状によるベンドの許容塑性ひずみは 5%から換算されたベンド変形角度になっています。

K2L の応力計算式と許容応力については、 CAESAR II クイックリファレンスガイド海外国際規格応力 を参照してください。

CAESAR II は他の規格では K2L 応力タイプを熱膨張応力タイプ (EXP) とみなします。ソフトウェアは他の規格では極限の荷重特性から許容値をゼロとします。

レベル2 耐震性能評価における許容値一覧

応力タイプ

OPE

地震荷重

許容値

P

W

T

U

D

K2P

ü

ü

ü
(慣性力)

ベンド: qa=1.14/h0.46

その他: 2S

K2SA

ü
(慣性力)

ü
(配管支持点相対変位)

片振幅: 塑性ひずみ-2%

ベンド: qa=1.14/h0.46

その他: 2Sy

K2SR

ü
(慣性力)

ü
(配管支持点相対変位)

範囲: 塑性ひずみ-4%

ベンド: qa= 2x1.14/h0.46

その他: 2x2Sy

K2L

ü
(地盤変状)

範囲: 塑性ひずみ-5%

ベンド: qa=2.43/h0.46

その他: 4Sy

KHK レベル 2 耐震性能評価例

荷重ケース

応力
タイプ

状態

L1

W+T1+P1

OPE

通常運転条件

L2

W+P1

SUS

持続荷重ケース

L3

W+T1+P1+U1

K2P

通常運転条件に設計震度で表した慣性力が作用した荷重ケース

L4

U1+D1

K2SA

慣性力と支持点相対変位が作用した片振幅荷重ケース

L5

D2

K2L

地盤変状荷重ケース

次の例に示すように、ユーザーは K2SR を使って応力範囲として定義することもできます。この例では、片振幅の荷重を 2倍して範囲としています。ユーザーはこの荷重ケースを上に示した荷重ケース例に追加することができます。

荷重ケース

応力
タイプ

状態

L6

2U1+2D1

K2SR

2次応力範囲として、慣性力と支持点相対変位が作用した両振幅の荷重ケース

異なる方向の地震荷重も同様に定義し、荷重ケースが追加されます。