配管規格の計算に対する環境設定の影響 (The Effect of Configuration Settings on Piping Code Calculations) - CAESAR II - ヘルプ

CAESAR II ユーザーズガイド

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CAESAR II
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CAESAR II Version
13

環境設定ファイルの編集 Configuration Editor) にあるほとんどの設定はすべての規格に適用されます。

すべての規格に対する応力集中係数 SIF (Stress Intensification Factors (SIF) for all codes)

必要な SIF を決定する上で次の表を使います。

該当する継手

SIF の値

ねじ継手

2.3

両端部溶接スリップオンフランジ継手

1.2

B16.9 スタブエンドのラップジョイント

1.6

Bonny 鍛造スウィーポレット継手と挿入型ウェルドレット継手 (Calculate Bonney Forge sweepolet and insert weldolet fittings)

基本配管入力 (Classic Piping Input) ダイアログSIF/分岐 (SIFs/Tees) 補助パネルタブで、スウィーポレットと挿入型ウェルドレット継手では 溶接 ID (Weld ID) を使用します。

SHARED Tip これらの継手が溶接に対して仕上げ加工されているようでしたら、より小さい SIF 溶接 ID を指定してください。

ベンド SIF の上書き (Bend SIF overrides)

ユーザーの定義した SIF はすべてのベンド断面に対して上書きされますので、ベンド曲率上の一点に適用することはできません。SIF をベンドの TO 節点に適用してください。CAESAR II は規格の SIF に代わってこの SIF をすべてのベンド曲率の溶接線間に適用します。

ガラス繊維強化プラスティック (FRP) ベンドと継手の SIF のデフォルトは 2.3 です。この値をすべてのユーザーが修正したベンドと継手に使ってください。FRP のベンドに対するデフォルトのたわみ係数は 1.0 です。これらの値を修正すると、鋼材の疲労試験からの SIF は、FRP 継手の SIF に対する基本的な点から使うことはできません。

CAESAR II では 1.0 より小さい SIF の使用は認めていません。

WRC 329

WRC 329 のオプションを使うことのできない、あるいは異径分岐管で ASME NC と ND の規定のオプションを用いられるのは、BS806 と Swedish Power Method 1 (スウェーデン規格の火力設備に対する手法1) です。これらの規格では、有効断面係数と ASME の手法の外挿方法を使うことはできません。

Use WRC 329 (WRC 329 を使用)WRC329 への Reduced Intersection (異径継手) 設定にはわずかながら違いがあります。

  • 同径および異径継手についての Use WRC 329 (WRC 329 を使用) は、溶接継手や補強ティーではない場合に適用されます。

  • Reduced Intersection (異径継手)WRC329 オプションは、溶接ティーではない異径継手か補強された工場製作のティーに適用されます。継手の d/D が 0.975 より小さい場合に対応します。

B31.3、B31.3 Chapter IX、B31.4、B31.4 Chapter XI、B31.1 (1967)、HPGSL、JPI 規格での WRC 329 の影響 (WRC 329 impact on use with B31.3, B31.3 Chapter IX, B31.4, B31.4 Chapter XI, B31.1 (1967), HPGSL, or JPI codes)

  1. すべての応力計算にねじり応力を考慮します。(すなわち、持続応力と短期荷重に対して)

  2. ねじり応力集中係数 SIF (= r/R) io を使います。

  3. 0.6(R/T)2/3 [1+0.5(r/R)3](r/rp) から i(ib) を計算します。

  4. i(ob) に対して 1.5(R/T)2/3 (r/R)1/2 (r/rp) and i(ob)(t/T)>1.5 を使います。

    ここで、(r/R) < 0.9 のとき、0.9(R/T)2/3 (r/rp) and i(ob)(t/T)>1.0

    (r/R) = 1.0 のとき、1.0 > (r/R) > 0.9 補間します。

  5. ir に対して、0.8 (R/T)2/3 (r/R), and ir > 2.1

  6. 継手の交点の半径が t/2、あるいは T/2 より大きい場合には、SIF は 2.0 で除してもよいとしています。ただし、ib>1.5、ir>1.5 とします。

B31.1、B31.8、ASME III NC、ASME III ND、Navy 505、CAN Z662、Swedish Method 2 規格での WRC 329 の影響 (WRC 329 impact on use with B31.1, B31.8, ASME III NC, ASME III ND, Navy 505, CAN Z662, or Swedish Method 2 codes)

  1. ib に対して、1.5(R/T)2/3 (r/R)1/2 (r/rp), and ib(t/T)>1.5

    (r/R) < 0.9 のとき、
    0.9(R/T)2/3 (r/rp), and ib(t/T)>1.0

    (r/R) = 1.0 のとき、
    1.0 > (r/R) > 0.9 補間します。

  2. ir に対して、0.8 (R/T)2/3 (r/R), and ir > 2.1

  3. 継手の交点の半径が t/2、あるいは T/2 より大きい場合には、SIF は 2.0 で除してもよいとしています。ただし、ib>1.5、ir>1.5 とします。

Bonny 鍛造スウィーポレット継手は、原子力設備に使われる継手であるため、より安全側の傾向にあります。SIF の基本である周溶接継手の 1.0 よりも強度が高いために、Bonny 鍛造スウィーポレット継手の式は 1.0 よりも小さくなります。ソフトウェアはは 1.0 より小さい SIF を許容してはいません。 Bonny 鍛造スウィーポレット継手の SIF が 1.0 より小さい場合には、1.0 が使われます。

Bonny 鍛造 SIF のデータは次の技術資料が出典となります: Bonney Forge Stress Intensification Factors, Bulletin 789/Sl-1, Copyright 1976.

CAESAR II では、2つの要素の交差の指定を許容していますが、1つの節点に 2つの SIF を指定することはできませんし、割増もできません。たとえば、ソケット溶接の SIF では、交差部の SIF は同じ節点に指定することはできません。

特殊な継手の応力 (Stress calculations for under-specified fittings)

2つの要素の継手部では、厚さに違いがあるときは大きな径と小さな径のそれぞれに肉厚を入力してください。2つの要素の継手部がソケット溶接の場合には、大きな肉厚を入力してください。これらの選択は、大きな SIF になるようにしており、指定した継手に対してもっとも安全側の計算になります。

周溶接に対する不整合は、平均の不整合とし最大の不整合ではありません。ユーザーは最大の不整合に対する要求事項を満足していることを確認してください。

すみ肉溶接の脚は、ソケット溶接との整合性を保つために、ソケット溶接と同じ SIF になっています。

SIF Multiplier for Sustained Stress Index (持続応力指数の SIF 乗数)

環境設定ファイルでの B31.3 持続応力での SIF の値は B31.3、B31.3 Chapter IX、B31.4、B31.4 Chapter XI、B31.5、NAVY 505、CAN Z662、B31.1 (1967)、GPTC、HPGSL、JPI 規格に適用されます。

B31.3、B31.3 Chapter IX、B31.4、B31.4 Chapter XI では、環境設定でのデフォルト値は 0.75 となります。

B31.8 では、環境設定の SIF Multiplier for Sustained Stress Index (持続応力指数の SIF 乗数) は 0.75 となります。

腐れ代 (Corrosion)

腐れ代を考慮した有効断面係数は、p(r2)te で計算されます。

ここで:

r は腐れ代を考慮しない平均断面半径

(te) は腐れ代を考慮した厚さ

SHARED Tip 分岐とヘッダーの腐れ代を考慮しない厚さをもとに厚さ (te) を選択します。すなわち、Th か iTb のいずれか小さい方になります。結果として、有効断面係数の計算を行う前に、この厚さから腐れ代が差し引かれます。

All Cases Corroded (すべてのケースで腐れ代を考慮) 設定は次に示す例外を除いてすべての配管規格で適用されます:

  • ソフトウェアはB31.3、B31.3 Chapter IX、HPGSL、JPIに準拠して、腐れ代を 1次荷重 SUS、OCC、K1P、K2P に適用します。また、EN-13480 と CODETIについても、ソフトウェアは面内と面外の SIF を使う 1次荷重ケースの応力タイプに対して腐れ代を適用します。

  • B31.5 では、ソフトウェアは 1次荷重ケースの応力タイプに加え HYD に腐れ代を考慮します。

  • Stoomwezen、IGE/TD/12 と DNVでは、All Cases Corroded (すべてのケースで腐れ代を考慮) は HYD のみに適用されます。他のすべての荷重ケースの応力タイプでは規格に準拠して腐れ代は考慮しません。

  • BS 7159, UKOOA, and ISO 14692 では、ソフトウェアは All Cases Corroded (すべてのケースで腐れ代を考慮) を無視し、すべての荷重ケースの応力タイプで腐れ代が使われます。

配管規格を複数使用する場合 (Using more than one Piping Code)

ジョブの中で複数の異なる配管規格が用いられるような場合には、出力 (Output Stress) レポートの見出しにモデル入力の最後に指定した規格が表示されます。SIF、許容応力、および規格応力計算式は入力で指定した規格に準拠して計算されます。

同じ配管のジョブに複数の配管規格が指定され、継手で配管規格が異なる場合に、その継手を構成する 3要素の配管規格がそれぞれに明確に指定されていれば継手を構成する最初のヘッダーに対して SIF の計算式が適用した規格が選択されます。配管規格が部分的に入力されているような場合には、配管規格は継手を構成する最初のヘッダーから選択されます。

熱膨張応力に軸荷重項を追加 (Include Axial Force in Expansion Stress)

ASME 配管規格は熱応力範囲に対して主にモーメントの合成を行います。配管系に大きな軸荷重が作用するような場合に対して、これらの規格の式は十分ではありません。このような例は、埋設管、あるいは部分的に埋設された配管にあてはまります。このような場合には軸応力が非常に大きくなります。

応力計算におけるねじりの適用 (Application of Torsion in Stress Calculations)

デフォルトでは、次の配管規格の持続応力、および短期応力計算にねじりは含まれません:

B31.5

CAN Z662

B31.8

B31.1 (1967)

HPGSL

GPTC/Z380

EN 13480
(面内/
面外 SIF)

CODETI
(面内/
面外 SIF)

Navy 505

JPI

これらの規格は、自重、内圧とその他の持続荷重による長手方向応力の計算を追加しています。ねじりによるせん断応力は長手方向応力ではないため、ねじりは含めません。ねじりを持続応力と短期応力の計算式に考慮する場合には、Add Torsion in SL Stress (応力SLにねじり応力を追加)Yes に設定します。ねじり応力に応力集中係数は、火力配管規格のように乗じられません。この応力集中係数を乗じないことは見逃されており、WRC 329 では補正されています。ユーザーは、Use WRC 329True に設定することにより、これを修正できます。

Apply B31J SIFs and Flexibilities (B31J SIF とたわみ係数の適用)Yes に設定すると、ねじり応力集中係数は B31J式から計算され、Add Torsion in SL Stress (応力SLにねじり応力を追加)Yes の場合自動的に適用されます。ソフトウェアは Use WRC 329 (WRC 329 を使用) オプションを無視します。

マイターベンドにおける曲げ半径入力データ (Radius Entry for Mitered Joints)

CAESAR II での半径は、常に幅の狭いマイター半径に等しくとられます。配管規格での幅の広いマイターでの半径の計算では、推奨されるように幅の広いマイターベンドを個々の 1つのマイターカットに分割する場合に使われます。

異径継手計算 (Reduced intersection  calculations)

d/D < 0.975 の異径継手計算に用います。

ここで:

d = 分岐側の外径

D = ヘッダー側の外径

B31.1 と ASME Section III の配管規格では、異径分岐端に対して応力集中係数を規定しています。他の配管規格では、このような SIF は規定していません。環境設定ファイルの Reduced Intersection (異径継手) オプションは、他の配管規格で異径分岐に対しての改良された SIF を使うことができます。ユーザーがこのオプションを用いる場合には、B31.1 と ASME Section III の配管規格に関連して、異径分岐の他のパラメーターと入力が正しく設定されているかを照査してください。

圧力による剛性の硬化 (Pressure Stiffening)

圧力による剛性の硬化を規定していない規格で、剛性の硬化を考慮したい場合、CAESAR II は圧力による剛性の硬化をすべてのベンドとすべてのマイターに適用します。

短期荷重割増係数 (Occasional Load Factor)

許容応力評価に際して短期荷重係数に対する環境設定ファイルのデフォルトは、規格ごとに次のようになっています。

  • B31.1: 短期荷重係数は 1.15 です。

  • B31.3 および B31.3 Chapter IX: 短期荷重係数は 1.33 です。

  • B31.4: CAESAR II では、短期荷重係数は B31.4 の解析に影響を与えません。

  • B31.4 Chapter XI: CAESAR II では、短期荷重係数は B31.4 Chapter XI の解析に影響を与えません。

  • B31.5: 短期荷重係数は 1.33 です。

  • B31.8: 短期ケースを規定していません。ユーザーが OCC 荷重ケースを入力した場合には、デフォルトは、持続応力の許容値の 1.0 倍になります。すなわち OCC=1.0 です。

  • B31.9: 短期荷重係数は 1.15 です。

  • ASME Section III NC および ND: OCC のデフォルト値は 1.2 で、短期荷重の許容応力は 1.8 (1.2 X 1.5)Sh、ただし 1.5Sy を超えないこと。OCC を 1.5、あるいは 2.0 とすると、許容応力は 2.25Sh/1.8Sy (Level C)、あるいは 3.0Sh/2.0Sy (Level D) のいずれか小さい方になります。後の 2つは Sh の代わりに Sm を使います。

  • Navy 505: 短期荷重は規定されていませんが、デフォルトは B31.1 と同じとし、OCC の値は 1.15 となります。

  • Z662: 短期荷重は定義されていませんが、ユーザーが入力すれば、持続荷重の 1.0倍をデフォルトとします。

  • BS806: 短期荷重は定義されていませんが、ユーザーが入力すれば KSh をデフォルトとします。これは、荷重ケースの割増係数です。k のデフォルトの値は 1.0 です。

  • スウェーデン規格 手順 1 (Swedish Method 1): 短期荷重 (OCC) は使いません。荷重ケースの違いはありません。同じ Sigma(ber)/1.5 がすべての荷重ケースについて使われます。

  • スウェーデン規格 手順 2 (Swedish Method 2): 短期荷重 (OCC) のデフォルトは、スウェーデン規格で使われている 1.2 となります。

  • B31.1(1967): 短期荷重係数 (OCC) のデフォルトは 1.15 です。

  • Stoomwezen: 短期荷重係数 (OCC) のデフォルトは 1.2 です。

  • RCC-M C&D: 短期荷重係数 (OCC) のデフォルトは 1.2 です。

  • CODETI: 短期荷重係数 (OCC) のデフォルトは 1.15 です。

  • NORWEGIAN: 短期荷重係数 (OCC) のデフォルトは 1.2 です。

  • FBDR: 短期荷重係数 (OCC) のデフォルトは 1.15 です。

  • BS 7159: 短期荷重は規定されていません。

  • UKOOA: 短期荷重は規定されていません。

  • IGE/TD/12: 短期荷重は、規格の Table 4 に示されているように割増しします。環境設定ファイルの短期荷重係数は、この規格では使えません。

  • EN-13480: 短期荷重係数は、荷重の種類によって 1.0 から 1.8 の値になります。詳細は、Section 12.3.3 を参照してください。

  • GPTC/Z380: 短期ケースを規定していません。ユーザーが OCC 荷重ケースを入力した場合には、デフォルトは、持続応力の許容値の 1.0 倍になります。すなわち OCC=1.0 です。

  • HPGSL: 短期荷重係数は 1.33 です。

  • JPI: 短期荷重係数は 1.33 です。

短期荷重係数は、環境設定ファイルで変更することができます。値はパーセントで入力します。