摩擦効果のモデル化 (Modeling Friction Effects) - CAESAR II - ヘルプ

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CAESAR II
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CAESAR II Version
13

摩擦問題を解く方法には2つあります:

  • 動きを拘束するように節点に荷重を挿入する

  • 摩擦係数 Mu に垂直力を乗じて得られる力まで増加するばねを挿入する

CAESAR II では、拘束ばねを挿入する方法を採用しています。

評価節点において運動があれば Mu (摩擦力) * Normal force (垂直力) が作用します。 しかしながら、剛でないばねが置かれ初期の動きに抵抗します。したがって、節点はわずかながら動くことができます。 節点に働く荷重は変形量にばね定数を乗じたものになります。 得られた荷重が最大摩擦力 (Mu * Normal Force) よりも小さければ、節点は滑らないことになります。 結果として、出力において滑りに対する摩擦力に到達しない節点における変形量として表されます。

節点における荷重の最大値は、摩擦係数に垂直力を乗じた値です (Mu * Normal force)。 配管系がこの値に到達すると、それ以上の節点反力の増加はしません。 次の繰り返しにおいて節点変位を決定する間は、この一定の荷重値が全体荷重ベクトルに適用されます。 次の例が「摩擦」問題の解法になります。

  1. デフォルトの摩擦ばね定数を 1,000,000 lb./in (=18ton./mm.) とします。 この値は収束を改善するためには小さい方が望ましいでしょう。

  2. 節点における荷重が摩擦係数に垂直力を乗じた値 (Mu * Normal force) に等しくなるまで、拘束荷重は摩擦ばねに変形を乗じた値になります。

  3. 摩擦力が最大荷重に達すると、摩擦力はそれ以上増加せず一定値になり、摩擦ばねの代わりに滑り方向と逆に作用させます。

設定ファイルにより大きな摩擦ばねを設定すると、すべての節点の変形はある程度小さくなります。 通常は、システム全体に荷重再配分をもたらし、収束性に対して悪い影響を与えます。

拘束点での摩擦に関してジョブの解析に問題が生じた場合には、一般に、摩擦ばねの値を小さくして収束性を改善することができます。 摩擦のばねの値を変化させた数回の実行により、システムの挙動の妥当性を確認してください。

この問題に対する優れた論文は、J. Sobieszczanski による "Inclusion of a Support Friction into a Computerized Solution of a Self-Compensating Pipeline (自己補償パイプラインへの拘束摩擦の考慮)", (Transactions of the ASME, Journal of Engineering for Industry, August 1972) で、この論文の要点は、次の通りです。

J. Sobieszczanski による論文の要約 (Summary of J. Sobieszczanski’s ASME Paper)

  • 乾燥摩擦では、摩擦荷重の大きさは変形のステップ関数で表されます。 この不連続性は本質的に非線形問題として扱い、重ね合わせの原理の可能性を否定しています。

  • 配管に作用する摩擦荷重は、微分係数が変数に依存する係数と、依存しない係数を併せ持つ非線形の 4次の常微分方程式で表しています。 この種の方程式では陽な形での解はありません。 解は数値積分でパイプラインの形状ごとに解く必要があります。

  • 乾燥摩擦は仮想の弾性床上条件で理想化され、不連続の弾性ばねでモデル化されます。

  • 乾燥摩擦の弾性系のよく知られた特徴は、摩擦力によって決定される制約を持つ いくつかの静的平衡位置を得ることができる というものです。

  • すべての問題は、明らかに決定論的ではなく確率論的に処理されます。