例題:複数の荷重ケースがある場合のハンガー設計 (Example: Multiple Load Case Spring/Hanger Design) - CAESAR II - ヘルプ

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13

この例題は複数の運転荷重に対するソフトウェアのハンガー選定のアルゴリズムを解説しています。

ソフトウェアは自重荷重に基づくハンガーの吊り荷重と予想されるトラベル量に対してハンガー選定を行います。荷重は運転荷重で想定される拘束の非線形性によって決められます。非線形を有する支持が運転時に無効で初期の自重解析に有効であっても、あるいはその逆であっても、ソフトウェアは運転時の荷重ケースにおける支持条件における自重分布を再計算します。複数の運転荷重ケースを満足するように、ハンガーに対して複数の荷重とトラベル量になります。

例題では 2つの運転荷重ケースを使用します。

  • 運転ケース (Operating case) 1: W+T1+D1

  • 運転ケース (Operating case) 2: W+T2

運転ケース (Operating case) 1

  1. ソフトウェアは拘束自重ケース (W) を実行し、ホット時の荷重 3,174 lb (T1) でハンガーを吊ります。配管が 0.5インチギャップだけ少なくなりますが吊り荷重にはいたらず、節点30 における +Y の非線形鉛直拘束は無効です。

  2. ソフトウェアは運転荷重 1 (W+T1+D1) を実行し、節点20 におけるハンガーが 0.2905インチ移動すると計算されました。節点30 の +Y の非線形支持が有効になります。

  3. ソフトウェアは節点30 における支持を線形の支持にとして拘束自重ケース (W) を再計算します。

    ハンガーのホット時荷重は 815 lb. に低減します。ソフトウェアはこの低減したホット時荷重と 0.2905インチをトラベル量としてハンガーの選定を行います。

運転ケース (Operating case) 2

  1. ソフトウェアは拘束自重ケース (W) を実行し、ホット時の荷重 3,174 lb. でハンガーを吊ります。節点30 における +Y の非線形鉛直拘束は無効です。

  2. ソフトウェアは運転荷重 2 (W+T2) を実行し、節点20におけるハンガーが 0.2226インチ移動すると計算されました。+Y の非線形支持は無効のままです。

    ソフトウェアはホット時荷重 3174 lb. と 0.226インチをトラベル量としてハンガーの選定を行います。

荷重ケースの決定 (Determining the Load Cases)

  1. ハンガー設計基準 (Hangar design criteria) をクリックします。

    ハンガー設計制御データ (Hanger Design Control Data) ダイアログが表示されます。

  2. ハンガー設計運転荷重ケース数 (No. of Hanger Design Operating Load Cases) ボックスに 2 と入力し、複数荷重ケース設計オプション (Multiple Load Case Design Option) ボックスで 2- 運転ケース (Operating Case) #2 を選択します。

    ソフトウェアは 2つの運転荷重ケースに基づいてハンガー選定を行います。

  3. 静的解析とハンガーレポートを実行すると、ソフトウェアはハンガー選定に際して運転荷重ケース L2 と L3 を推奨します。

L1 (ハンガーに対する自重ケース, Dead weight for the hanger)

ソフトウェアは節点20 での +Y支持で自重解析を行いハンガー吊り荷重を計算します。節点30 での 0.5インチギャップはそのまま残ります。節点30 では荷重は支持されず、節点20 の自重は 3174 lbf. です。

L2 (運転ケース #1)

ソフトウェアは節点20で 3174 lbf のハンガー吊り荷重で運転荷重ケースを解析します。節点20 の鉛直方向変位はハンガーのトラベル量を示しています。節点40 の -Y方向の変位は節点30 の +Y拘束のギャップと影響しあっています。

節点30 では浮き上がりはなく節点20 での自重の最初の推定は疑わしくなります。ソフトウェアは L1 ケースに戻って節点20 の荷重を再計算し、節点30 の +Y が有効 (ギャップがなし) であるとします。この 2回目のパスで節点20 の荷重は 815 lbf になります。

ソフトウェアは吊り荷重 815 lbf で L2 荷重ケースを再解析します。鉛直方向の節点20の変形は 0.2905インチとなりました。

L3 (運転ケース #2)

ソフトウェアは節点20 のハンガー位置における初期の推定自重を使います。節点40 での変形はないので運転荷重は拘束と影響しあいません。節点20の鉛直変位は 0.2226インチで元の吊り荷重 3174 lbf が使われます。

ソフトウェアは2つの運転荷重に基づいて節点20のハンガーを選定するためのデータを得ることができました:

運転ケース (Operating case)

荷重 (Load)
(lbf.)

トラベル (Travel)
(in.)

1

運転ケース (Operating Case) #1 (W+T1+D1)

815

0.2905

2

運転ケース (Operating Case) #2 (W+T2)

3174

0.2226

その他の設計オプション (Other Design Options)

2つの運転荷重ケースを用いた 複数荷重ケース設計オプション (Multiple Load Case Design Option) に対してさらに以下のような選択ができます。

10 - 最大荷重(Maximum Load)

最大荷重での荷重とトラベルを使います。この例では、ソフトウェアは運転ケース (Operting Case) #2 を選択します。

11 – 最大トラベル (Maximum Travel)

最大トラベルでの荷重とトラベルを使います。この例では、ソフトウェアは運転ケース (Operting Case) #1 を選択します。

12 – 平均荷重とトラベル (Average Load & Travel)

複数の運転荷重ケースの平均荷重とトラベルを使います。この例では、ソフトウェアは平均吊り荷重 1995 と平均トラベル 0.2566インチを使います。

13 – 最大荷重とトラベル (Maximum Load & Travel)

複数の運転荷重ケースの最大荷重と最大トラベルを使います。異なる運転荷重から決定されることになります。この例では、ソフトウェアは運転ケース#2 の吊り荷重 3174 lbf と運転ケース#1 のトラベル 0.2905インチを使います。

要約 (Summary)

複数荷重ケース設計オプション (Multiple Load Case Design Option)

荷重 (Load)
(lbf.)

トラベル (Travel)
(in.)

1

運転ケース (Operating Case) #1 (L2 = W+T1+D1)

815

0.2905

2

運転ケース (Operating Case) #2 (L3 = W+T2)

3174

0.2226

10

最大荷重 (Maximum Load)

3174

0.2226

11

最大トラベル (Maximum Travel)

815

0.2905

12

平均荷重/トラベル (Avg Load & Travel)

1994

0.2566

13

最大荷重/トラベル (Max Load & Travel)

3174

0.2905

ハンガー (Hanger) レポート:

詳細は、複数荷重ケース設計オプション (Multiple Load Case Design Option) を参照してください。