伸縮継手 (Expansion Joints) - CAESAR II - ヘルプ

CAESAR II ユーザーズガイド

Language
日本語
Product
CAESAR II
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CAESAR II Version
12

要素の伸縮継手ボックスにチェックを入れると、伸縮継手の定義ができるようになります。伸縮継手は、フレキシブルな長さの単体の要素としても、伸縮継手の中心に長さゼロの要素としてもモデル化できます。配管要素スプレッドシートの相対座標 (Delta) フィールドを空白にするか、ゼロを入力すると、伸縮継手の長さがゼロになります。

伸縮継手に長さが定義されていると、CAESAR II は梁として全長にわたって均一な剛性を持つ伸縮継手要素を定義します。

4つの剛性を伸縮継手に定義します:

  • 軸 (Axial)

  • せん断 (Transverse)

  • ねじり (Torsion)

  • 曲げ (Bending)

剛性の例 (Examples of the Stiffnesses)

有限な長さを持つ伸縮継手の定義 (Define Finite Length Joints)

柔な長さを持つ伸縮継手では、曲げ剛性は全体にわたってせん断剛性によって定義されます。伸縮継手メーカーのカタログによる値は、CAESAR II で用いる曲げ剛性というよりも曲げたわみを示しています。この曲げたわみは、長さのない伸縮継手で中点にピンとして2つの剛体によってモデル化される場合には正しいモデルになりますが、柔な長さのある伸縮継手では誤った値となります。このあいまいさを対処するように、CAESAR II は伸縮継手の長さと軸直角方向の剛性を基にして曲げ剛性を計算し、モデルに適用します。伸縮継手メーカーのカタログによる値は長さのない伸縮継手、あるいはゴム製の伸縮継手で梁要素としての定義をしない場合にのみ適用することを推奨します。

一般的に、伸縮継手メーカーからねじり剛性の情報はありません。伸縮継手メーカーからねじり剛性の情報がない場合は、非常に大きなねじり剛性値を入力して、結果の荷重が過大になっていないことを照査します。配管系が空間的に余裕のない、口径の大きな場合には、大きなねじり剛性の大きさは伸縮継手のねじり剛性によって伝達されるねじり荷重に大きく影響をします。たとえば、100,000 in.lb./deg. の剛性と 1E12 in.lb./deg. の剛性は、ねじり荷重の結果に大きな差を生じます。ねじり剛性値が 100,000 in.lb./deg. の剛性にほぼ近い場合を除いて、大きな剛性になればなるほど大きくなります。大きなねじり剛性が重要な意味を持つ場合には、メーカーから推定値を得るか、あるいは次の式により推定することができます。この式を用いて、周りの機器と伸縮継手に対するねじり荷重を安全側に定することができます。

ここで

p = 3.14159

Re = 伸縮継手の有効半径

t = 伸縮継手の肉厚

E = 縦弾性係数

n = ポアソン比

L = 伸縮継手の長さ

伸縮継手の長さがゼロのときは、剛性成分は相互に関係はしません。すべての 剛性 (Stiffness) フィールドに入力してください。

内圧推力の計算 (Calculate the Pressure Thrust)

CAESAR II は、伸縮継手 (Expansion Joint) の補助ダイアログボックスでベローの 有効 ID (Effective ID) の値が入力された場合には、伸縮継手の内圧推力を計算します。有効 ID (Effective ID) が指定されていない場合、内圧推力は計算されません。

内圧推力の数学的なモデルは、伸縮継手を定義する両端に内圧にベローの有効断面積を乗じた荷重です。圧力が正であればベローを開く方向に荷重が作用し、圧力が負であればベローを閉じる方向に作用します。

このモデルは伸縮継手の近傍では正確に分布していません。ほとんどの場合に、この正確でない荷重が解に影響は与えません。

実際に作用する内圧推力には、モデルに 1つの成分ではなく 2つの成分があります。1番目の成分は、圧力に配管の内断面積を乗じたもので、伸縮継手の両端の方向の変わる配管に作用します。この荷重は方向の変化する配管壁に作用し伸縮継手に引っ張り力が作用します。2番目の成分は、内圧にベローの有効断面積と管の内断面積の差を乗じたものです。この荷重は伸縮継手の両端に生じベローを開く方向に作用し、伸縮継手と方向を変える配管の間の配管を圧縮します。

数学的なモデルでは、このような伸縮継手の両端に部分的な成分を考慮する代わりに、内圧推力のすべてがベローの両端に作用させています。