本チュートリアルでは、代表的な配管系の構築、応力解析と解析結果のレポートについて順を追ってステップごとに説明します。次に示す項目が含まれます:
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配管応力モデルのデータ作成
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応力解析と解析結果の評価
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チュートリアル B - 機器チェックと配管系の再設計 (Tutorial B - Check equipment and redesign a piping system) に示す配管系の再設計
構築しようとする配管系は石油精製プラントのボトムポンプからスチームストリッパ―装置へ原油を移送するプロセスです。ポンプの 10インチ吸込み側はエンドタイプで 8インチ吐出側はトップタイプです。8インチのラインは、チェッキ弁を通り、上部スプリングハンガーで支持されていて、弁保全用の 6インチのバイパスラインがあります。さらに縦型容器に入る前にサポートで支持されています。
配管系の境界は図の右側にあるポンプ吐出ノズルと左側にある容器取り合いノズルになります。運転時における温度上昇によるポンプノズルの伸び量を基準点からポンプノズルの間の熱ひずみから計算できますから、境界条件として扱うことができます。容器ノズルにおいても容器の熱伸び量はわかっていますし、8インチラインに比べて十分に剛であると考えられますから、境界条件として扱うことができます。
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容器基礎やポンプ基準点のように、全く動かない位置まで配管をモデル化することもできます。
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支持構造物も含めてより詳細な精度の高いと考えられるモデル化が要求される場合には、支持構造物もモデル化に含めることができます。
チェッキバルブが 6インチバイパスライン用の溶接ティーの上部にあります。6インチラインにはチェッキバルブの上にある溶接ティーで 8インチラインに戻る前にゲートバルブがあります。バルブの重量と面間長さはわかりません。したがって、バルブ長さや重量は CAESAR II の一般的なバルブ・フランジデータベースを検索してモデル化します。
バルブの上にあるスプリングハンガーでバルブ重量と配管重量を支持し、かつ鉛直配管の熱伸びを吸収します。ハンガーはエルボの鉛直部分のニアエンドに据え付けられています。ハンガーは重量に敏感です。実際に据え付けられるバルブ重量とモデル重量との差はスプリングのプレロードで調整されるのが一般的です。チュートリアル Bでは、スプリングのホット時荷重はハンガーメーカーの推奨されるスプリング作動範囲の中央に持ってくれば荷重推定の誤差を吸収できることを確認することができます。重量の変動が適切な範囲であるかの判定は、解析の再実行が必要になります。
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エルボの最初の溶接端をニアエンド、水平部の溶接端をファーエンドといいます。
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ハンガーのもう一方の端部はモデル外の支持構造物からとられます。ハンガーが取り付いている位置で鉛直方向の熱伸び量がありますから、単純なロッドハンガーを使うことができません。
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水平方向の配管は次のエルボのファーエンドから指定のない位置で支持されています。このサポートは剛な非線形サポートで、配管の中心軸に対して水平配管の上方向の動きは許容し下方向の動きを拘束します。
本チュートリアルの内容